トップページ
アマチュア無線サービス
2006/3/1 updated

*サービス概要*
*機能*
*運用形態*
*利用方法*
*運用スケジュール*
Cuteデジピータ
Cute-1.7 + APDでは,1200MHz帯アップリンク,430MHz帯ダウンリンクを利用したデジピータサービスを試験的に実施します.大学衛星では初めての試みとなりますので,ぜひ利用していただき,ご意見・ご感想をお寄せください.
アマチュア無線サービスの概要
Cute-1.7+APDで実施するデジピータサービスでは,公開しているサービス用アップリンク周波数1268.5MHzの電波(GMSK, 9600bps)で,ユーザはメッセージをアップロードし,衛星内に蓄積することができます.蓄積に成功すると,衛星からその旨のメッセージが即時にダウンリンクされます.蓄積されたユーザメッセージは,アマチュアサービス提供時に,437.505MHzのテレメトリの電波(AFSK 1200bps / GMSK 9600bps)で衛星から定期的にダウンリンクされ,そのメッセージは電波を受信できれば誰でも読むことができます.これにより,衛星の同時可視時間地域(国内)だけでなく,可視時間の異なる異国間との通信も可能となります.
デジピータの機能の紹介
Cuteデジピータは,マルチキャストモード,アップリンクモードの2種の機能をもっています.下記にその詳細を記します.
マルチキャストモード
マルチキャストモードは,衛星内に蓄積されているメッセージを順にダウンリンクしていく機能です.メッセージはFMテレメトリ回線でダウンリンクされ,電波を受信・デコードできれば,誰でもそのメッセージを読むことができます.下記にダウンリンクされるメッセージのフォーマットを示します.
マルチキャストデータフォーマット
例:
#01 00 200602181200 JQ1YCZ ALL Hello, world!
#77 28 200702180600 JQ1YCZ JQ1YCC Happy Birthday to Cute-1.7!
### ## ############ ###### ###### #################################
* 各フィールドの値について *
H0(3words): メッセージのIDを示します.(#01から#99まで)
H1(2words): メッセージがダウンリンクされた回数を示します.
(50を超えるとメッセージは削除されます)
H2(12words): メッセージが蓄積された日付・時間を示します
(衛星が自動的に追加します)
A(6words): 発信元コールサイン(空白含めて6文字)
B(6words): 宛先コールサイン(空白含めて6文字)
C(Max50words): メッセージ(最大50文字)
|
メッセージはID#01から順にダウンリンクされ,保存されているメッセージが一通りダウンリンクし終わると,保存されているメッセージ数が以下のように表示され,その後は再度ID#01から順にダウンリンクされます.
保存されているメッセージ数の表示
Now 7 saved messages
|
マルチキャストモードが中断されると,次回のマルチキャストモード開始時は,前回の続きのIDからダウンリンクが再開されます.また,一つのメッセージは50回ダウンリンクされると削除されます
なお,試験運用という位置づけのため,管制局の都合により,蓄積されているすべてのメッセージが削除されることもありますので,ご了承ください.
アップリンクされ蓄積されたメッセージがない場合には,[BLANK]から始まる管制局で用意したメッセージが定期的にダウンリンクされます.
アップリンクモード
アップリンクモードは,1200MHz帯受信機がONになり,アマチュア無線家からのアップリンクを受け入れ,メッセージを衛星へ蓄積する機能です.1268.5MHz GMSK 9600bpsの電波で指定のフォーマットにしたがってアップリンクしてください.通信プロトコルは,AX.25,SRLLどちらでも可能です.受け入れられたデータは,即時に衛星を介してダウンリンクされ,また同時に衛星内に蓄積されます.アップリンク時に衛星から返ってくるメッセージはFMテレメトリ回線でダウンリンクされるので,誰でも受信することができます.下記にアップリンクするメッセージのフォーマットを示します.
通信方式等,衛星搭載通信システムの詳細は通信系のページをごらんください
アップリンクデータフォーマット
例:
JQ1YCZ ALL Hello, world!
JO1ZUT JQ1YCC How are you?
###### ###### #################################
* 各フィールドの値について *
A(6words): 発信元コールサイン(空白含めて6文字)
B(6words): 宛先コールサイン(空白含めて6文字)
C(Max50words): メッセージ
** コールサイン欄は空白含めて6文字にあわせないと,正しく蓄積されません.
|
アップリンクできるメッセージの最大サイズは50文字までです.長すぎる(50文字以上),短すぎる(14文字以下)場合には下記のようなエラーメッセージがダウンリンクされます.
アップリンク失敗時の衛星からの返事
Illegal data
|
正しく蓄積されると,送ったメッセージの最後に[via cute]と追記されてメッセージがダウンリンクされます.アップリンクしたあとの衛星からの返事を確認してください.この返事のメッセージは誰でも受信できます.
アップリンク成功時の衛星からの返事
JQ1YCZ ALL Hello, world!
->
JQ1YCZ ALL Hello, world! [via cute]
JO1ZUT JQ1YCY How are you?
->
JO1ZUT JQ1YCY How are you? [via cute]
###### ###### #######################
->
###### ###### ####################### [via cute]
|
正しく蓄積されると,以後のマルチキャストモードにおいて最新のIDおよびヘッダが追加されてダウンリンクされます.
下記のようなメッセージをアップリンクすると,保存されているメッセージ数が返され,現在の蓄積状況を把握することができます.
保存されているメッセージ数の取得
countmsg
衛星からの返事
Now 17 saved messages
Now ## saved messages
|
また,アップリンクモード時にもマルチキャストさせることができます.下記のようなメッセージをアップリンクしてください.前回マルチキャストされたメッセージの次のIDのメッセージがダウンリンクされます.
アップリンクモード時にマルチキャスト
multicast
衛星からの返事
#17 17 200602181500 JQ1YCZ ALL Hello, world2!
### ## ############ ###### ###### ###################
|
この場合,次回のマルチキャストは上記でダウンリンクしたメッセージの次のIDのメッセージから再開されることになります.
さらに,衛星の時刻を取得することもできます.下記のようなメッセージをアップリンクしてください.
衛星時刻を取得
timeplease
衛星からの返事
Cute Onboard Time is 2007/01/11 06:30:00
Cute Onboard Time is ####/##/## ##:##:##
|
Cute-1.7+APD運用におけるサービスの提供方法
Cute-1.7 + APDでは,通常運用時は運用スケジュールにしたがって,衛星のミッションデータが含まれたFMテレメトリが定期的にダウンリンクされます.アマチュアサービスが利用できる状態であるかどうかは,CWテレメトリ中の衛星ステータス(Frame 0中のserviceMode)から判断することができます.
Cute-1.7 + APDには,他のトランスポンダ等を搭載したFO-29などのアマチュア衛星とは異なり,ビーコン以外のテレメ回線が一つしかないので,他のミッションデータダウンリンクとアマチュア無線サービスのダウンリンクとでその回線を共有します.そこで,地上からアップリンクが可能な状況である1200MHz受信機がオープンとなっているアマチュア無線サービス提供中であっても,下の表に示すように,衛星の通常テレメトリがダウンリンクされているモード(I)と,蓄積メッセージがダウンリンクされているモード(マルチキャストモード)(II)の2つの形態があります(I,IIはCWテレメトリ中のserviceModeの値と同じです).詳細は次項の利用方法をご覧ください.
Cuteデジピータの利用方法
Cute-1.7デジピータのアップリンクモードにおいては,ユーザは,上記のアップリンクデータフォーマットに従った,UIフレームのパケットでアップリンクしてください.下記に通信の一例を示します.
Cute-1.7 + APDでは,通常のパケット送信時は,CUTE-Iと同様に,ある時間おきに
JQ1YCC>JQ1YCZ: *************通常テレメ*********
といったパケットがダウンリンクされます.
アマチュアサービス提供中(1200MHz受信機オープン中)のときに,衛星は通常テレメトリをダウンリンクしている場合には,上記に示した指定のフォーマットでメッセージをアップリンクすると,次にダウンリンクされるパケットにはメッセージが流れることになります.
つまり,このモードのときには,下記のようになります.
I. <2秒おきに通常テレメトリダウンリンク + 1200MHzアップリンクオープンの場合>
[CWテレメトリFrame0をチェック: serviceMode = 1]
JQ1YCC>JQ1YCZ: *************通常テレメ*********
(2秒)
JQ1YCC>JQ1YCZ: *************通常テレメ*********
(2秒)
JQ1YCC>JQ1YCZ: *************通常テレメ*********
(2秒)
-地上からcountmsgコマンド(蓄積メッセージ数を取得)-
JQ1YCZ>countmsg
JQ1YCC>JQ1YCZ: Now 0 saved messages
(2秒)
-地上からメッセージアップリンク-
JQ1YCZ>JQ1YCZ ALL ****アップリンクメッセージ****
JQ1YCC>JQ1YCZ:JQ1YCZ ALL ****アップリンクメッセージ**** [via cute]
(2秒)
JQ1YCC>JQ1YCZ: *************通常テレメ*********
(2秒)
-地上からmulticastコマンド(意図的にマルチキャストを実行)-
JQ1YCZ>multicast
JQ1YCC>JQ1YCZ: #01 00 200602181500 JQ1YCZ ALL ****アップリンクメッセージ****
(2秒)
JQ1YCC>JQ1YCZ: *************通常テレメ*********
(2秒)
-地上からtimepleaseコマンド(衛星時刻を取得)-
JQ1YCZ>timeplease
JQ1YCC>JQ1YCZ: Cute Onboard Time is 2007/01/11 06:30:00
(2秒)
JQ1YCC>JQ1YCZ: *************通常テレメ*********
...
|
一方,アマチュアサービス提供中(1200MHz受信機オープン)に,衛星が通常テレメトリをダウンリンクしているのではなく,蓄積されたメッセージをダウンリンクしているマルチキャストモードである場合には,下記のようになります.
II. <マルチキャストモード + 1200MHzアップリンクオープンの場合>
[CWテレメトリFrame0をチェック: serviceMode = 2]
JQ1YCC>JQ1YCZ: #01 17 200602181500 JQ1YCZ ALL Hello, world!
(2秒)
JQ1YCC>JQ1YCZ: #02 17 200602181500 JQ1YCZ ALL Hello, world2!
(2秒)
-地上からcountmsgコマンド(蓄積メッセージ数を取得)-
JQ1YCZ>countmsg
JQ1YCC>JQ1YCZ: Now 5 saved messages
(2秒)
JQ1YCC>JQ1YCZ: #03 17 200602181500 JQ1YCZ ALL Hello, world3!
(2秒)
-地上からメッセージアップリンク-
JQ1YCZ>JQ1YCZ ALL ****アップリンクメッセージ****
JQ1YCC>JQ1YCZ:JQ1YCZ ALL ****アップリンクメッセージ**** [via cute]
(2秒)
JQ1YCC>JQ1YCZ: #04 17 200602181500 JQ1YCZ ALL Hello, world4!
(2秒)
-地上からtimepleaseコマンド(衛星時刻を取得)-
JQ1YCZ>timeplease
JQ1YCC>JQ1YCZ: Cute Onboard Time is 2007/01/11 06:30:00
(2秒)
JQ1YCC>JQ1YCZ: #05 17 200602181500 JQ1YCZ ALL Hello, world5!
(2秒)
JQ1YCC>JQ1YCZ: #06 00 200701110630 JQ1YCZ ALL ****アップリンクメッセージ****
...
|
上記に示したように,Cute-1.7のアマチュア無線サービスとしては,2種類の形態を持っています.これらの形態の切替は管制局側が行います.管制局側では,蓄積されたメッセージが少ない状況では,しばらくIの形態で運用し,ある程度のメッセージが蓄積されていることが確認できたら,IIのマルチキャストで断続的にメッセージをダウンリンクしようと考えています.(上記例でも示したように,Iの形態でも意図的にマルチキャストすることは可能です)
運用スケジュールの詳細は,打ち上げ後,サービス公開前に再度お知らせします.
運用スケジュールについて
Cute-1.7+APDの通信システムは,ダウンリンクFM回線は一つしか持っていません.そこで,本衛星が予定している他のメインミッション実施中はこのデジピータ機能は利用できません.デジピータサービスが利用できるかどうかは常時送信されているCWテレメトリから判断することができますので,そちらを確認してください(CWテレメトリフォーマットについてのページ).なお,サービス提供状況は,運用予定のページにも記載されます.
- 現在,初期運用段階ですので,公開までもうしばらくお待ちください
問い合わせ先
このCuteデジピータサービスは,今後のアマチュア衛星・大学衛星開発プロジェクトを見据えた試験的な機能です.サービス提供中に予期しない問題が発生し,本衛星の他のミッションとの兼ね合い上,休止を余儀なくされることも考えられますが,その旨ご了承ください.
本Cuteデジピータサービス機能についてのご質問,ご意見などありましたら, cute1.7_question[at]lss.mes.titech.ac.jp までお寄せください.
Copyright ©, Tokyo Institute of Technology, All Rights Reserved.