トップページ プロジェクト概要
Cute-1.7 + APD(キュートいってんなな プラス エーピーディー)と名付けられた超小型衛星を学生が全ての過程(設計,開発,打上ロケットとの調整,軌道上運用)を行うプロジェクトである.Cute-1.7 + APDは,既に軌道上に2年半以上動作しているCUTE-Iに続く学生手作り衛星で,サイズは20cm x 10cm x 10cm, 重さ約3キロの超小型衛星である.
数kgクラス超小型衛星は,開発期間の大幅な短縮とそれに伴う開発費用の大幅な削減が見込まれ,先端科学技術の早期軌道上実証や教育目的の実践的開発が実施可能などの理由で,大学や研究機関,宇宙関連企業を中心に大きな注目を集めている.その中でも,1辺10cm立方体,1kgの世界最小超小型衛星CubeSatについては,世界で60ほどの開発プロジェクトが立ち上がっている.
東工大松永研もCubeSat "CUTE-I" (CUbical Tokyo Tech Engineering-I) の開発を進め,2003年6月30日にロシアのプレセツクからROCKOTにより成功裡に打ち上げられた.本衛星は現時点で打ち上げ後2年6ヶ月(2006年1月現在)を超えて順調に動作しており,学生の運用の下,それぞれに計画された軌道上実験をこなしてきた.またCUTE-Iの分離機構も同時に開発し,世界的にも数が少ない火工品を用いない小型分離機構を開発しCUTE-Iの分離に成功した.本研究室では,CUTE-Iに続く次世代の超小型衛星として,2004年初頭より10cm x 10cm x 20cm直方体,約3.6kgのCute-1.7 + APDを開発してきた.また,Cute-1.7 + APDの分離機構の軌道上実証として,2005年7月10日には,M-Vロケット6号機を用いたサブペイロードTSD (Tokyo Tech Separation system Demonstration)を打ち上げ,打ち上げ環境に耐え,軌道上で分離機構が正常に動作することを確認した.
本プロジェクトは,超小型衛星Cute-1.7 + APDとその分離機構システムから構成され,第1号機をM-Vロケット8号機のサブペイロードとして搭載される.第2号機は2006年夏期の打上を調整中である.
Cute-1.7プロジェクトでは、衛星局と地上局との通信周波数帯としてアマチュア無線周波数帯を利用することを予定しています。 私たちは、周波数帯という貴重な資源を利用するに当たり、アマチュア業務が、金銭上の利益のためでなく、専ら個人的な無線技術の興味によって行う自己訓練、通信及び技術的研究の業務であることを理解したうえで、電波法およびIARU(国際アマチュア無線連合)の規定に基づき、無線通信業務を行う所存です。本プロジェクトでは、衛星の管制業務および実験データの取得に加えて、アマチュア無線家向けのサービスの提供を計画しています。
本プロジェクトの名前は、Cute-1.7 + APDプロジェクトです。CUTE-Iの次ならば、CUTE-IIとするのが普通ですが、なぜCute-1.7になったのか、ここで説明しようと思います。実は、Cute-1.7プロジェクトを発案する前から、CUTE-IIプロジェクトは存在していて、進行していました。CUTE-IIは5kg程度の一回り大きい衛星で、打ち上げは少し先の予定です。ある時、ふとCute-1.7プロジェクトのアイデアがわいてきて、CUTE-IIと平行して進めることになりました。そこで、1と2の間にある数字が必要になり、現在地球を周回中のCUTE-Iの1に、ラッキーセブンの7を付け加え、1.7となりました。そこに理学系のAPDモジュールが搭載されることになりCute-1.7 + APDになりました.