TSUBAMEプロジェクト
  • 概要

  •   通信系について―

    通信系は,衛星と地上局の間にてデータの送受信を行う役割を持つとともに衛星の危機管理も担う,重要なサブシステムです.これまでに本研究室より開発し打ち上げられた衛星にて,アマチュア無線周波数帯を利用した通信システムの開発・構築を行い,衛星と地上間の通信を担ってまいりました.CUTE-IによるCWによるデータダウンリンクやAFSKによるパケットデータダウンリンクをはじめ,Cute1.7 + APD1号機および2号機では大学衛星としては初めてGMSKによる9600bpsダウンリンクを実現しました.さらにアマチュアサービスミッションも実施し,アマチュア無線コミュニティの活性化に貢献できればと思い活動を続けて参りました.

    今回のTSUBAMEではミッションの高度化・ダウンリンクデータ量の増加が予想され,今後衛星が有意義な工学、理学ミッションに挑戦していく中で,アマチュア無線通信におけるノイズ等によるデコード率の低下や通信速度が遅いことによりダウンリンクに時間がかかるといった課題も挙げられています.そこで本衛星ではアマチュア無線通信システムの確立を行うとともに,専用周波数帯を用いた通信システムを構築しました.


      通信系のミッション―
    1. アマチュア無線機を搭載した大学衛星の技術蓄積

      CubeSatを前身とする大学衛星の通信システムにおける課題は,通信速度および性能の向上,システム全体の洗練の2点が挙げられます.前者に関してはCute-1.7における通信系開発でGMSKを用いた9600bps通信を実現しました.しかしGMSK通信はアマチュア無線機の性能の限界によりデコード率を実用的なレベルまで向上させることが出来ず,現在はAFSKによる運用が中心となっています.このためTSUBAMEにおいてはAFSKの通信性能を維持しつつ新無線機を利用することによりGMSKの通信性能を実用レベルまで向上させることを目指していました.しかしながら衛星の機能増大に伴う仕様変更により開発期限を満足することが出来ず,GMSKをやめ,AFSKダウンリンクを2系統とすることで信頼性の向上を目指しました.

      後者に関しては今後の衛星開発におけるバスシステムの役割を考え,TSUBAMEにおいて通信系モジュールとしてアマチュア無線帯による通信システムを確立させることを目指します.

    2. 専用周波数帯による通信

      TSUBAMEは本研究室における衛星開発の中で初めて,専用周波数帯(S帯)による通信を行います.専用周波数帯利用にあたっての必要な手続き,無線機の扱いおよび地上局の準備などを行いました.


  • 構成
  • tsubame_moudule


  • 通信回線

  •   周波数
    (MHz)
    通信形式 ビットレート
    (bps)
    無線機 送信出力
    (W)
    アップリンク
    (管制)
    145MHz帯 AFSK 1200bps 1200 DJ-C7
    (ALINCO)
     50
    ダウンリンク 437.505MHz AFSK 1200bps 1200 DJ-C7
    (ALINCO)
    0.5
    ダウンリンク 437.275MHz CW 1.5 カスタムメイド(Cosmowave) 0.1
    アップリンク
    (管制)
    2GHz帯
    (S帯)
    PCM-PSK-PM 1200 カスタムメイド(ADDNICS) 10
    ダウンリンク 2GHz帯
    (S帯)
    BPSK 10k~100k カスタムメイド(ADDNICS) 0.07